【アルトビールとは?】ドイツ・デュッセルドルフ生まれの“熟成系”エール
【アルトビールとは?】ドイツ・デュッセルドルフ生まれの“熟成系”エール|香ばしさと爽快さの絶妙バランス
「アルトビールって聞いたことあるけど、どんなビール?」日本ではまだそこまでメジャーではないこのスタイル。ですが実は、ドイツ西部・デュッセルドルフを代表する伝統的ビールであり、香ばしさとキレを両立させた大人の味わいが魅力です。
この記事では、アルト(Alt)ビールの歴史、特徴、代表銘柄、香り・味わい、飲み方やおすすめしたい人まで詳しくご紹介します。
1.アルトビールとは?|“古い製法”を守る上面発酵ビール
「アルト(Alt)」とは、ドイツ語で「古い」という意味。つまりアルトビールとは、**“古くからある上面発酵(エール)スタイルを今も守り続けているビール”**という意味合いを持ちます。
現代のドイツビールの多くが下面発酵(ラガー)に切り替わっていく中で、デュッセルドルフ周辺では伝統的なエール製法が受け継がれ、独自の発展を遂げました。
ただし、ラガーのように低温での熟成(ラガリング)も取り入れているため、エール特有の香りとラガーのキレの良さを兼ね備えたハイブリッドなスタイルとも言えます。
2.アルトの誕生と歴史
アルトビールのルーツは中世にまで遡りますが、現在のスタイルが確立されたのは19世紀中盤以降。当時、冷蔵技術が発達してラガー製法が広まっていく中でも、デュッセルドルフの職人たちはエール酵母を用いた製法にこだわり、改良を重ねて独自の味わいに昇華させました。
その結果生まれたのが、香り高く、しかし過度にフルーティにならず、キレの良い「アルトビール」。今日では「アルト=デュッセルドルフ名物」として、地域に根差した誇りあるビールとなっています。
3.アルトビールの外観・香り・味わい
▶ 外観
・深い琥珀色~ダークブラウンの濃色系
・赤銅色がかった透明感と、クリーミーな泡立ちが美しい
・見た目だけでも「旨そう」と思わせるビジュアル
▶ 香り
・焙煎麦芽由来の香ばしさが最初に立ち上がる
・エール酵母の働きによるほのかなフルーティさ(ナッツやプルーン系)
・ホップの香りは控えめで落ち着いている
▶ 味わい
・モルトのコクと苦味のバランスが絶妙
・アフターテイストはスッキリとしたキレ
・炭酸はほどよく、飲みごたえと軽快さが共存する味わい
「香ばしいのに重たくない」―そんな不思議なバランスがアルトビールの真骨頂です。
4.代表的なアルトビール銘柄
◉ シュロッセ・アルト(Schlösser Alt)
・デュッセルドルフを代表する大手ブランド。
・ややライトな口当たりで、初めてのアルトにもおすすめ。
◉ ウーリゲ・アルト(Uerige Alt)
・地元で絶大な人気を誇る老舗の名門ブルワリー。
・苦味がしっかりあり、“ザ・アルト”とも呼ばれる本格派。
◉ フクスヘン・アルト(Füchschen Alt)
・モルト感が豊かで飲みごたえあり。
・地元民の「日常ビール」として長く愛されている。
※一部は輸入ビール店やクラフトビール専門店で入手可能。
また、日本では以下アルトビールがあります。
◉ 山形クラフトビール 月山アルトビール
・山形クラフトビールの月山アルトビール
・色は赤褐色、カラメルのような香ばしさと苦味が調和して、ふくよかな味わい
5.アルトビールのおすすめの飲み方
・飲み頃温度:8〜10℃
→ 少し冷やすことで香ばしさが際立ち、キレも楽しめる
・グラス:ストレートなタンブラー型 or オリジナルの細身グラス
→ 泡立ちを楽しみながら飲むのがポイント
・料理との相性:
ローストポーク、グリルソーセージ、ベーコンなど香ばしい肉料理
煮込み系ドイツ料理(アイスバイン、ラグー)
チーズ、ライ麦パン、ナッツ類など濃い味のつまみ
香ばしさのあるビールなので、肉料理や香ばしいつまみとのペアリングが抜群に合います。
6.アルトビールをおすすめしたい人
以下のような人におすすめしたいです。
・「ラガーよりもう少しコクが欲しい」という人
・「香ばしい麦芽の風味が好き」な方
・「クラフトビールの香りは好きだけど、苦味は控えめがいい」方
・「重すぎず軽すぎず、ちょうどいい中庸ビール」を探している人
ビール中級者〜上級者にとっては深くハマるタイプのスタイルでありつつ、意外と初心者にも飲みやすいのが魅力です。
7.まとめ|アルトビールは“伝統と革新”を両立する味わい深い一杯
アルトビールは、ドイツ・デュッセルドルフに息づく伝統的なエールスタイル。香ばしくも軽快な飲み口は、まさに“古き良き”と“現代の洗練”を併せ持つ存在です。
ラガー派もエール派も満足できる**“バランス系ビール”**として、日本でももっと知られてほしいスタイル。特に秋冬の深まりとともに、食事とともにゆっくり楽しみたくなる一本です。
ぜひ一度、アルトビールの世界を味わってみてください。
その奥深さに、きっと魅了されるはずです。
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