【メルツェンとは?】芳醇でまろやかな甘みのビール

~歴史と味わいを楽しむ季節のクラシック~

 

クラフトビールの世界は奥深く、多彩なビアスタイルがありますが、今回は「メルツェン(Märzen)」についてご紹介します。オクトーバーフェストでよく飲まれるこのスタイルは、濃厚でまろやかな味わいが魅力です。この記事では、メルツェンとは何か、その歴史、代表的な銘柄、外観や味わい、そしておすすめの飲み方までを詳しく解説します。

 

ホーエンタナー メルツェン・フェストビア

 

1.メルツェンとはどんなビール?
メルツェン(Märzen)とは、ドイツ・バイエルン地方発祥のラガービールの一種です。「Märzen」はドイツ語で「3月」を意味し、もともとは春に醸造され、秋まで貯蔵・熟成されたビールを指していました。冷蔵技術がなかった時代、夏の醸造は雑菌の繁殖リスクが高いため禁止されており、3月にしっかりとした保存性を持つビールを造っておき、秋まで寝かせて楽しむのが一般的でした。

 

このビールは秋の収穫祭(とくにオクトーバーフェスト)で提供される伝統的なビールとしても知られており、しっかりとした麦芽の風味と、まろやかな口当たりが特徴です。

 

2.メルツェンの歴史
メルツェンの歴史は16世紀にさかのぼります。ドイツでは1516年に制定された「ビール純粋令(ラインハイツゲボート)」により、麦芽・ホップ・水・酵母以外の原料の使用が制限され、質の高いビールづくりが行われてきました。

 

そして1553年には、バイエルン公ヴィルヘルム4世により、「4月23日から9月までの間は醸造を禁ずる」という法律が制定されました。これにより、春に仕込まれたメルツェンは秋にちょうど飲みごろを迎え、オクトーバーフェストと結びついていったのです。

 

3.メルツェンの外観・香り・味わい
(1)外観
メルツェンは美しい琥珀色から赤銅色を呈し、クリアで透明感のある液体に、しっかりとした泡立ちが魅力的です。グラスに注ぐと、秋の紅葉を思わせる色合いで、季節感を演出してくれます。

 

(2)香り
香りはローストモルトの香ばしさが印象的で、カラメルやビスケットのような甘い香りが立ちのぼります。ホップの香りは控えめで、全体的に麦芽主体の落ち着いた香りです。

 

(3)味わい
味はモルトのまろやかな甘みが中心で、コクがありつつも飲みやすい仕上がり。苦味は控えめで、バランスの良さが光ります。アルコール度数は5.5%〜6.0%ほどが一般的で、飲みごたえも十分です。

 

4.代表的なメルツェン銘柄
◆ アウグスティーナー・オクトーバーフェストビア(Augustiner Oktoberfestbier)
ミュンヘン最古の醸造所が造る伝統の味。甘みとコク、ドライな後味が絶妙なバランスで、ドイツ国内でも高い評価を得ています。

 

◆ パウラーナー・オクトーバーフェストビア(Paulaner Oktoberfest Märzen)
フルボディで飲みごたえがありながら、飲み口はすっきり。甘みと香ばしさがしっかりと楽しめる一杯です。

 

◆ シェッファーホッファー メルツェン(Schöfferhofer Märzen)
バランスのとれた麦芽の甘さと軽やかな苦味が特徴。初心者にもおすすめのメルツェンです。

 

5.おすすめの飲み方
◆ 飲み頃温度
メルツェンの美味しさを最大限に引き出すには**8〜12℃**が最適。冷やしすぎるとモルトの香りや甘みが隠れてしまうため、少し温度を上げて楽しむのがポイントです。

 

◆ ペアリング
ローストポーク、ソーセージ、ハンバーグ、シュニッツェル(カツレツ)など、香ばしさのある肉料理との相性は抜群。チーズならエメンタールやグリュイエールなどのコクのあるタイプがおすすめです。

 

6.こんな人におすすめ!
以下のような人におすすめしたいです。
・フルーティで軽めのビールに飽きてきた方
・秋冬に向けてじっくり味わえるビールを探している方
・ビールの苦味が苦手だけど、味のあるビールが飲みたい方
・オクトーバーフェスト気分を家でも楽しみたい方

 

7.まとめ|メルツェンの魅力
メルツェンは「季節を味わうビール」として、多くのビールファンに親しまれてきました。歴史ある製法に裏打ちされた芳醇な味わいと、琥珀色の美しい外観で、特に食欲の秋にぴったりなビールスタイルと言われていますが、秋にこだわらず、とても美味しいビールです。まだ飲んだことがない方は、ぜひ一度、メルツェンを楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

8.関連記事
以前飲んだメルツェンを紹介します。

 

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