【ラオホとは?】燻製の香りに包まれるラオホビールの魅力

~ドイツの伝統が息づく個性派ビールを味わおう~

 

クラフトビールの世界には、実に多様なスタイルが存在します。その中でもひときわ異彩を放つのが「ラオホ(Rauchbier)」と呼ばれるスタイル。ビールでありながら、まるでベーコンのようなスモーキーな香りと奥深いコクが楽しめる、知る人ぞ知るビールです。今回はこのラオホビールについて、スタイルの特徴から歴史、代表銘柄、味わい、飲み方まで詳しく紹介します。

 

1.ラオホビールとはどんなビール?
ラオホ(Rauchbier)とは、ドイツ語で「煙のビール」という意味。その名の通り、燻製香(スモーキーフレーバー)が特徴のビールスタイルです。

 

その秘密は、原料である麦芽を乾燥させる過程にあります。通常のビールは熱風で乾燥させますが、ラオホでは「木の煙(主にブナ)」で麦芽を燻します。これにより麦芽自体にスモーキーな香りが移り、ビールに独特の風味が加わるのです。

 

2.ラオホの誕生と歴史背景
ラオホビールの発祥地は、ドイツ・バイエルン州の都市「バンベルク(Bamberg)」。この地では、冷却や乾燥の技術が未発達だった中世の時代から、麦芽を薪で乾かすことで自然と燻製香がビールに加わるようになりました。

 

現代のビールはスモーキーフレーバーを避ける傾向がありますが、バンベルクではこの伝統的な製法が今もなお守られています。まさに「昔ながらの味」を受け継ぐ、世界でも数少ないスタイルです。

 

3.代表的なラオホビール銘柄
ラオホビールを語るうえで欠かせないのが以下の銘柄です。

 

【1】シュレンケルラ・ラオホビア(Schlenkerla Rauchbier Märzen)
バンベルクの老舗「ヘラー醸造所(Brauerei Heller)」が手がける伝統的なラオホ。

 

ブナの木で燻製した麦芽の香ばしさと、ラガーらしいキレの良さが絶妙に調和。

 

アルコール度数:5.1%

 

【2】シュレンケルラ・ラオホビア・ヴァイツェン(Weizen Rauchbier)
上記と同じ醸造所が造る小麦タイプのラオホ。

 

燻製香とヴァイツェンらしいバナナ香の不思議な融合が面白い。

 

【3】クロースターブロイ・バンベルガー ラオホビール)
ドイツ・バンベルクの名門「Klosterbräu(クロー スターブロイ)」が醸造する伝統的なラオホビール。燻製香(スモーキーアロマ)で、一口グラスを近づけると、ベーコンやスモークチーズを思わせる香ばしい香りがふわりと立ち上ります。飲んでみると、燻製麦芽の香りとともに、キャラメルやチョコレートのようなモルトの甘みが広がり、苦味は控えめで、口当たりはまろやか。後味にはスモークの余韻がゆっくりと残ります。

 

 

日本のクラフトブルワリーでも以下などのラオホスタイルが造られています。

 

・月山ラオホビール
・富士桜高原麦酒 ラオホ-本格スモークビール

 

4.外観、香りと味わい
(1) 外観
色合いはアンバーからダークブラウンまで幅広く、透明感はやや少なめ。
濃い色味の泡がしっかりと立ち、見るからにコクのある印象。

 

(2) 香り
グラスに鼻を近づけると、一気に燻製の香りが立ちのぼります。
ベーコン、スモークチーズ、焚き火、ウイスキー樽のような香ばしさが特徴。

 

(3)味わい
口に含むと、スモーキーな香りと共に、しっかりとした麦芽のコクが広がります。
ラガースタイルであれば飲み口は軽やかで、意外とスッと飲みやすい。
後味にも燻製感が余韻として残り、クセになる味わいです。

 

5.おすすめの飲み方
ラオホビールは、その独特の風味をじっくりと楽しむビール。以下のポイントを意識すると、よりおいしく味わえます。

 

(1)飲み頃温度:10~12℃
 冷やしすぎると香りが立ちません。やや高めの温度がベストです。

 

(2)グラス:スノブ(チューリップ型)やパイントグラスで香りを引き立てる。

 

(3)ペアリング:
 - 燻製チーズやベーコン
 - ソーセージ、スモークサーモン
 - 煮込み料理(ビーフシチューなど)
 と相性抜群!食中酒としても活躍します。

 

6. ラオホビールはこんな人におすすめ!
・ビールの新しい世界を探している方
 クラフトビールを一通り試して、次なる刺激を求めている人にぴったりです。
・スモーキーな香りが好きな方
 燻製食品やスモークウイスキー好きならきっと気に入ります。
・食中酒を探している方
 肉料理との相性が非常に良いため、ディナータイムにもぴったり。

 

7.まとめ:クセになるスモーキーな1杯をぜひ
ラオホビールは、まさに“唯一無二”の存在。燻製麦芽が織りなす香りとコクは、一度飲めば忘れられない個性を持っています。ドイツ・バンベルクの伝統を感じながら、日本でも手に入るこの希少なスタイルを、ぜひ体験してみてください。

 

クラフトビールの奥深さを知る上で、ラオホは欠かせない1ページになるはずです。
「次に飲むならラオホビール!」そんな気持ちになってもらえたら嬉しいです。

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